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愛する夜のブルーマルガリータ 8

ud24 本作品は性描写を含みます ud24

 そもそも異形というのは身体に余分なパーツが多いもので、それが頭部や顔ならばまだ良いのだが、首から下となれば人間用に作られた服が全く持って着用に不便だという重大な問題を抱えることになる。無論、マイノリティの彼らがそんな問題を抱えていたのは昔の話であって、今では異形の数は増え、また《ヤツハカ》は特に異形の数が多いことから、《有翼種》専用の衣服が大抵商店を三件ぐらい回れば見つけられた。見た目は普通のシャツだが、小さな翼の根元を避けるように切込みが入り、その上部を二つの釦で留める仕様。背中がぱっくりと開いたものもあるが、それは何となく落ち着かなくてネーヴェは嫌いだ。大抵、釦式を選ぶ。翼を下げ、背中に手を伸ばして釦を取るのも、子供の頃はかなり苦労したが、今では手馴れたもの。ぷつりと背中と前と釦を外してしまえば、シャツはほぼ勝手に肩からずり落ちる。久しぶりに解放された翼は小さく唸った。光に当たることを好まぬネーヴェの肌は白く、透き通った空の色をした長い髪が灰色の影を曖昧に落としてる。スラックスの釦にも手を掛けた。シンと痛いぐらいの沈黙が満ちた空間に、ネーヴェがたてる静かな衣擦れの音だけが響き、大変、大変居た堪れないが、それを打破する術もないネーヴェは黙して脱衣に没頭する。否、没頭するまでもなく、終了。一糸纏わぬ姿となったネーヴェは薄闇の中で、金色の視線を受けて、くるくると視線を彷徨わせると、とりあえず。とりあえず、自分を凝視している二匹の大蛇の名を呼んだ。僅かながら抗議も込めて。
 夜叉、夜牙、とその声に二匹は許しを得たように動き出した。しゃりりりと鱗を鳴らして、甘ったるくネーヴェに纏わり付く。ひんやりとした鱗が直接肌に触れて、ネーヴェは少しだけ身を震わせた。それほど、怖い訳ではない。ただ、何処へ連れて行かれるのだろうという漠然とした不安を覚えて、ネーヴェは二匹の金色の瞳を覗いた。四つの宝石は事の外、愛しげに細くなって、ネーヴェを見る。柔らかに。緩やかに。ネーヴェ、と低い声が呼ぶ。言葉はそれ以上不要。先に夜叉が近付いてきて、ネーヴェの肩から首筋に額をゆっくり擦りつけた後、口先をちょんとネーヴェの頬に触れさせた。視界が漆黒で埋められる。まるで夜空のように煌きを宿したその色に、見惚れる暇もなく、彼の口先は今度は唇に。触れて、触れるだけ。許しを請うようなその仕草に、そっと唇を開けば。待ち構えていたように、二股に分かれた細い舌が入り込んでくる。ネーヴェの口内を、まるで違う生き物であるかのように、舌がなぞる。確かめるように、それはネーヴェの歯列をなぞり、口蓋を撫で上げると、吃驚しているネーヴェの舌に絡んだ。ぞろりと粘膜を触られる感触に唾液が溢れ出す。ん、という悲鳴は喉の奥で生まれて、すぐにかき消えた。ひちゃ、とはしたない水音をたてて、短いような長いような口付けが与えられる。あがった息と一緒に、口を開けば、真っ赤な夜叉の舌先と自分の舌との間に銀色の唾液が糸を引いて、ネーヴェは眩暈のような熱を感じた。
 いやらし過ぎる。
 しかし、考えごとに集中するまでもなく、今度は夜牙の声がネーヴェを呼んだ。ネーヴェの愛する人は一人ではないのだから、まあ当然な流れと言えたが、すでに夜叉との濃厚な口付けで視界が揺らめいているネーヴェには更に追い討ちだ。性急だとは言わない。だが、ゆっくりと頭を擦りつけ、そして求められる口付けに少しだけ指先が震えた。何だか心許ないのだ。立ち尽くしているせいもあるだろうが、ぴりぴりと全身が落ち着かない。侵入してくる夜牙の舌に、おずおずとまた応えていると、ネーヴェ、と頭を下げていた夜叉の声が聞こえた。彼はネーヴェの周りをぐるりと取り囲みながら、金色の眼でネーヴェを見上げ、そっと僅かに笑ってみせたようだった。
「膝、付いた方が良い。立ちっ放し、辛ぇだろ?」
「……ん、」
「夜牙、もっと身体折って掴まらせてやれよ。つかあんま続けてすんな」
「んー」
 言われるままにかくんと膝を突いた。真綿がたっぷりと敷かれた床は落ちるように崩れても、何処も痛くない。それと同時に夜牙も身体をもたげたので、ネーヴェは両腕を伸ばして彼の大きな頭をぎゅっと抱きしめるように掴んだ。相変わらずゆっくりとした動きで舌が口内を蹂躙していたが、時折、囁きの為に口先が離され、その度にネーヴェは息をした。吐く息と吸う息。大きく胸元を上下させるネーヴェに夜牙は愛しそうに眼を細め、ネーヴェの名前を呼んだ。そして繰り返される愛情の儀式。長いキスは頭の中心が痺れるような、非現実感を伴って揺れる。それが《悦楽》なのだと。気がついたのは、もうネーヴェが零す唾液で彼の口先も艶やかに濡れてしまった頃。そして、ネーヴェの身体に鱗を、激しくない程度に擦り付けていた夜叉が、突然、その大きな口を開いて、ネーヴェの男性器を咥えたのもちょうどその時。
「ッ、」
 生ぬるい熱を持った大蛇の口内に緩く勃ちあがった性器を迎え入れられ、ネーヴェは指先に強く力を込める。気持ち悪くはない。だが、初めての感覚だった。怖いぐらいに、熱が下半身に集まっていくのが解る。牙のない位置にちょうど収められた性器は、柔らかい粘膜に包まれ、更に彼の細い舌先がゆるりと伸びて。鈴口を、撫でる。突き上げるような快楽に、ネーヴェはびくんと大きく身体を揺らした。背の翼が同時にばさりと大きく跳ねる。何もかもが未知の世界だった。「交尾」という行為を知らなかった訳ではないが、知識と、それを身に受けて知るのとでは、全く意味合いが違う。震える身体を抑えることが出来なくて、もがいていると夜牙がそっと口を離してくれた。大きく息をつけば、彼の金色の瞳が緩やかに見つめ、そっと頬にキスをくれる。冷たくて、優しいキスだ。
「大丈夫。気持ち良いだろ?」
「…っ、やしゃ、やが…っ」
 無論、気持ち良くないはずはない。だが、身体中が沸騰しそうな感覚に襲われて、ネーヴェは強く夜牙の頭を抱いた。夜叉の舌先がくちゅりと性器を嬲る。張り詰めた熱は放出を求めて、静かに震え、ネーヴェは頭を振った。何か、何かとても熱い。ピンと翼の先も爪先も伸ばして、エクスタシーの到来に強く眼を瞑る。
 そして、それは唐突に。
 弾けたような感覚と同時に、ネーヴェは絶頂を迎え、大きく身体を震わせると、ぎゅうっと夜牙を抱きしめた。熱いものが自分の性器から飛び出したのが解る。おまけに二度三度そのまま舌で愛撫され、ネーヴェは身体を跳ね上げた。最後に残ったのはぐったりとした倦怠感。勿論、これまで生きてきて一度も吐精したことがないなどと、そんなことは言わないが、しかしここまで存分に吐き出したのは初めてかもしれなかった。夜叉がずるりと口から、ネーヴェの、白濁に塗れた男性器を取り出す。居た堪れずに、ネーヴェは再び強く瞳を閉じた。
 吐き出した精液は、子を成す大役など務めはしないのだけれど、夜叉はそれをゆっくりとネーヴェの隠された、静かに奥まっていた女性器の入り口に擦り付ける。男性器の下側に位置するその場所に、夜叉が口先をつけると、自然と吐精したばかりの男性器をこすり付けることになり、再びネーヴェはぴく、と身体を震わせた。否、それ以上に舌先と体液とを使って、くちゅ、と音を立てる陰部が堪らなく恥ずかしい。恐らく、ネーヴェの感じた以上の、明確な性交の予感を感じ取って、愛液を溢れさせつつあるのだろう。一度も男性器を受け入れたことなどないはずなのに、身体の器官は本能に忠実だ。あふ、と切ないため息を落としながら夜牙に抱きつくと、んー、と彼が複雑そうに零す。お願いだから、綺麗な瞳を見開いてネーヴェの痴態を凝視するのはやめて欲しいのだが。彼にそんなこと言っても無駄だろう。
「やっぱ、何か納得いかないぜ…」
「……夜牙?」
「煩ぇぞ、夜牙。最初に決めただろうが」
「だって、バージンだぜ、バージン!何でお前が全部持ってくんだよ!」
「二人一度になんて無理に決まってるだろうが」
「そういう問題じゃなくてだな…!」
「……、何の、話、」
 よく意味が解らない。首を捻ったネーヴェに愛撫の手を一時止めて、ああ、と夜叉が口を開く。白濁と透明と、体液塗れの口元を晒しながら、低く硬質な声で喋る夜叉というのは壮絶に心臓に悪いものがあったが、どうにか直視して、ネーヴェは彼の声に耳を傾ける。
「今日は俺がネーヴェの中に入る。夜牙は次だ」
「………………え?」
「あーもうほんと、キスだけって生殺しだぜ…」
「だから煩ぇよ。ネーヴェを殺す気か?」
「解ってるっつの」
 そう言って憮然とした夜牙は、俺たち同時に相手したらネーヴェ壊れちまうし、と零して、殊更盛大なキスを頬にくれた。確かに。確かに規格外の大きさを持つ大蛇を、それも二匹、受け入れようと思うのは、大変なことかもしれない。だが、ネーヴェは二匹のどちらかをどれだけ愛しているとかそういうことではなく、二匹のどちらをも同様に愛している。出来うることならば一緒に愛し、愛されたい。幸いというか必然というか、ネーヴェは彼らを受け入れられる場所が、一箇所しかないということはない。否、本来、その場所は性交に使われる場所ではないけれど、しかし同性愛、特に男性同士の場合の繋がりの場所としては一般的だから、恐らく大丈夫だろうと、思われる。恐らく。恐らく、なんて不安なことこの上ないが、しかし、今は不安よりも使命感の方が大きい。愛して、愛されるということ。平等でなければならないという決まりはないが、その心に応えるくらいに、ネーヴェは彼らを愛したいと、思う。
「構わない」
「へ?」
「ネーヴェ?」
「構わない。受け入れる。…その、」
 言い詰まって、どう言ったものかと思って、ネーヴェは自分の傍でひこひこと揺れていた夜牙の尾を手に取った。漆黒の皇かな質感を掌で直接感じながら、その優美な尾の先をゆっくりと自分の後孔に導いて、当てる。吃驚した彼らの、二匹の気配が手に取るように解った。急に自分がとんでもなくはしたないことをしたような気になって、ネーヴェは視線を逸らしたが、今更取り消すことも出来なくて、その、ともう一度繰り返した。
「厳密には、処女でない、が、恐らく、」
「………………ネーヴェ………!!!」
 歓喜の悲鳴は勿論、夜牙からだった。
「良いのか!?ほんとに!?…痛ぇかも、しれねぇけど、あの、ほんとに?」
 こくりと頷けば、夜牙はいよいよ感極まったようで、これ以上ないぐらいに眼を細めると、急に真面目な雰囲気になる。ぴったりと寄り添う尾に顔を覗き込んでくる金色に、どれも真剣な色があって、ネーヴェも思わず唇を引き結んだ。ネーヴェ、と愛しい声が呼ぶ。低くて、軽やかで、ネーヴェの好きな、声だった。
「俺、ネーヴェと一緒になれて本当嬉しいぜ。そりゃ、こういうの《普通》とは違ぇかもしれねぇけど…。でも、ネーヴェのバージン貰った責任は死ぬまで取るから。一緒にいてくれ、愛してるよ、ネーヴェ」
 そして、キス。右頬に大きな口先で強烈な愛情を含んだ証拠を残されて、ネーヴェが眼を細めると、一方の夜叉がゆらりと鎌首をもたげてきた。彼の瞳は何時も通り真摯な色を秘めたまま、ネーヴェを見つめる。金色の光が誓いのように名前を呼んだ。
「俺はネーヴェと共にあれたことを誇りに思う。他の誰でもなく、ネーヴェ、お前という存在に感謝する。好きだぜ、本当に…本当に、愛してる。誓おう、俺の命尽きるまでお前以外の誰も愛さねぇ」
 そして、やはりキス。左頬にやんわりと口先を押し付けられて、ネーヴェは緩やかに微笑んだ。世間知らずと笑われても良い。恋に溺れていると指先を向けられても構わない。断言しよう。今、世界中で最も幸せな異形はネーヴェだ。指輪も、神も、花もない。だが、そこには確かな、絶対に信じられる、
誓いの言葉が二つ。ネーヴェが最も欲しかったもの。簡単で、単純な、言葉。でもだからこそ、実感出来る。愛しい愛しい愛しい。溢れ出しそうな想いを胸に抱いて、ネーヴェは唇に言の葉を乗せた。嗚呼、愛しい君たちに。今、最愛の言葉を贈ろう。それだけが、真実で、それだけが、心の全て。他に要るものと言えば、特には思いつかない。ただ、ただ―届け。一際騒がしく、輝かしく、震えるほどに、満ち溢れた、このきもちを。
「―私も、愛してる」
 それだけが、伝えたいこころ。
 愛しい、こころ。
 愛してるの、誓い。
「「ネーヴェ」」
 同時に呼ばれる。ステレオみたいに響いた声にうっとりと聞き惚れると、しゃりりりと鱗がさざめいて、ネーヴェの身体に、静かに絡みついた。これから何が起こるのか、解らぬほどネーヴェも鈍くはない。何しろ、自分で導いたほど。身体倒して、という言葉に素直に従い、上体を真綿の中に埋めると、腰を高く上げた。壮絶な羞恥だ。だが、二匹はネーヴェを安心させるように、大丈夫と告げると、ネーヴェの下肢に絡みつき、そして、愛撫を始める。濡れた女性器と、後孔と。大蛇の舌先が舐め取る度に、ひちゃりと水音が響き渡った。ネーヴェは真綿を掴む指先に、静かに力を込めて口を噤む。受け入れる為の準備は長く、長く、舌によって続き、そして、やがてネーヴェが、ぐずぐずと腰から力を失くす頃、宛がわれたのは、尾、だった。漆黒の細くなった尾の先が、女性器と後孔にゆっくりと、けれど強く埋まっていく感覚。思わずあげそうになった悲鳴を必死に堪えて、ネーヴェは身体を震わせた。気持ち悪いような、気持ち良い、ような。二匹が黙りこくって震えているネーヴェを案じて、頭をすり寄せてくる。視線を真っ白な綿から離せば、金色の瞳が不安そうにネーヴェを見つめていた。
「ネーヴェ、大丈夫か?気持ち悪い?」
「痛かったらすぐに言えよ?あと、声もあげて良いからな?」
「夜叉、夜牙…あ、んッ」
 二匹の尾の内どちらかがネーヴェの柔らかい粘膜の奥を擦りあげた。ひょっとしたらそれは二匹同時だったのかもしれないが、そんなことは差して重要ではなく、ネーヴェの内壁は確かに快感を感じ取って、逞しい鱗の尾をきゅうと締め付けた。それに驚いたのはどちらかというとネーヴェではなく、二匹の方のようだ。思わず顔を見合わせた気配が真上でして、次いでゆらりと巨躯の全てを擦り寄せられる。くちゅり、と縦横無尽に内部を探る尾の免罪のように、柔らかに愛しげに落とされる声と口先による愛撫。白い肌に鱗の痕を残されながら、身を捩るネーヴェは瞳に薄っすらと、涙を溜めた。無論、痛みによるものではない。明確な快楽。与えられるものは、一つも残らず受け取って。時間の感覚はとうの昔に解らなくなっていたが、やがて、ゆるりと彼らの尾が引き抜かれると、思わず虚無感が支配して、ネーヴェは身体を、翼を震わせた。濡れた尾はネーヴェの太股の右と左それぞれに巻きついて、押し当てられる熱。ネーヴェ、と呼ばれるのと、熱い大蛇の性器が入り込んでくるのは、ほぼ同じタイミングだったように感じられる。
 ずるり、と。
 這い上がるような挿入と、突起物の並んだ性器(それは人のものとまるで違うように思われた)が、悲鳴にもならない痛みと共にネーヴェの内部に入り込んでいく。ぱくぱくと喘ぐように、ネーヴェは痛みをやり過ごそうとする。しかし、痛いものは、痛い。強烈な圧迫感と、初めて貫かれる苦痛に、ネーヴェはほぼ失神直前で、悲鳴を耐えた。無論、最初から解っていたことではあるが、この世の終わりのような痛みに顔の色彩は容赦なく失っていく。ネーヴェの身体に労わるように絡みついた二匹が気遣わしげにネーヴェの顔を覗き込む。大丈夫か、やめるか、と。これでもまだネーヴェを案ずる二匹に、漸くまともな思考を取り戻したネーヴェはふるふると頭を振った。ぐちゅ、という音をあげ、彼らの性器でネーヴェの中が埋め尽くされている。確かに痛みを伴っていたが、けれど、途方もない充足感もそこにはあった。繋がっているという、喜び。今、確かに、絡み合う熱は、ネーヴェと夜叉と夜牙の、ものだ。
「平気、」
「けど、真っ青だぜ、ネーヴェ…」
「痛ぇよな…悪ぃ、本当…」
「平気、嬉しい」
「ネーヴェ、」
「嬉しい、夜叉、夜牙」
 それは、紛れもない、本心だった。
 痛みと共に身体の内をゆっくりと揺さぶられる。悲鳴は徐々に嬌声へと変わり、赤黒い大蛇の性器は、ネーヴェの中で張り詰めて、ネーヴェ自身もまた、絶頂を求めて勃ちあがり始める。ネーヴェの内壁の一部分を、突く度に声の色合いが変わることに気付いたのだろう。夜叉も夜牙も、ずくりと重たい律動をさせながら、ネーヴェの快感のポイントだけに打ち付けてくる。翼をはためかせ、縋る真綿を握り締めながら、ネーヴェはふうっと、身体を震えさせた。ネーヴェ、と夜叉が呼ぶ。イって良いんだぜ、と夜牙がそれに続いた。声を、発する、声にならない。あう、と溺れた人の喘ぎのようなそれは、届くはずもなく、けれど、二匹は確かにそれを汲み取ってくれたようで。ネーヴェに巻きつく身体に力を込めて、耳元で囁いてくれる。
「ああ、解ってる」
「一緒に、俺たちも一緒だから」
 だから、
「ッ、い、や、ああ、んんッ!!」
 一際大きい嬌声と共にネーヴェは白濁を男性器から零れさせた。それと一緒に彼らも抱きしめる力を強め、どくりと内部で巨大な性器が波打ったかと思うと、熱い液体がネーヴェの中に注がれる。びくびくと体内で震える男性器を、二つ感じながら、ネーヴェはそれを受け止めた。長い吐精。そういえば、彼らにとっては正真正銘、初めての交尾なのだと、今更になって深い感慨を覚えた。ネーヴェにとっても彼らは初めての相手だが、それは彼らも同じ。「初めて」を貰ったのは自分も同等なのだな、と心の中で笑うと、漸く吐精を終えた彼らからキスの雨が注がれる。髪に頬に背中に翼に。あらゆる情愛を込めて、あらゆる愛情を込めて。成し遂げた本懐に殊更感謝して。ネーヴェは彼らをそっと振り返る。青い瞳に彼らを映して、笑えば。嗚呼、愛しい。本当に、本当に。
「夜叉、夜牙…愛してる」
 そう、告げて、何とか告げて、ネーヴェの意識は昏い夜の中に落ちていった。怖くはない。寂しくもない。苦しくもない。ただ、幸福な夜は、酷く優しく微笑んでいるようだった。



The Blue Margarita of Loving Nights. in the night,to the night.



06/08/24

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