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幸せにはなりたくない
「無駄なのに。」  それが彼女の口癖だった。いつも物憂げそうに、彼女は唇を開いてそう言った。囚われの彼女。囚われて、囚われて、指先と視線しか動かすことは出来ぬのに。身に迫る確実な死の予感に震え、涙を流し、命乞いをするなん […](更新日:2016月10月30日)
蝶が死んだ。
 蝶が死んだ。  黒と青の斑の蝶だ。硝子張りの室内で一匹だけで飼っていたから、特に子孫を次に残すということもしなかった。処女のまま死んだ柔い命をそっと掌で掬う。蝶が死ぬのを待っていたかのように、白い花を付けていた橘の木も […](更新日:2016月10月30日)

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