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狼神×陰間

1 首尾の松
 威圧的な電子音は一向に鳴り止む気配がない。  尾神静牙(おがみ しずが)は鈍い呻き声をあげると寝返りを打った。百九十を超える長躯が沈む布団は昨日の内に誰かが(十中八九住み込みのお手伝いである佳代さんだが)干してくれたお […](更新日:2016月10月16日)
2 引手茶屋
 尾神家前当主であり静牙の祖父である尾神清牙(おがみ せいが)は正真正銘尾神一族の偉大な「親父さん」であった。  祖父は主に女性と賭け事における奔放さで祖母や母を散々に泣かせてはいたが、仁義に厚く弱きを助け強きを挫く生き […](更新日:2016月10月16日)
3 初会
 本作品は性描写を含みます   徐々に傾いてきた西からの陽光が廓の町並みを焼き尽くすように差していた。  前を行く小柄な男は晩夏にも関わらず榛色の羽織をまとい、まだ日暮れ前だというのに茶屋の屋号が入った箱提灯を提げている […](更新日:2016月10月16日)
4 裏を返す
 夢を見ていた。果てのない闇の中は茫洋とした空気に満たされ寒くもなければ温かくもない。静牙はそんな空間に上も下もわからぬままぽっかりと浮いている。ぼんやりと見下ろした自分の身体は見慣れた人間のもので、なぜか一糸もまとって […](更新日:2016月10月16日)
5 馴染み(前)
 信号が青に変わる。ほんの一瞬無人となるスクランブル交差点にはすぐさま歩行者が流れ込み、人波に押し出されるような形で静牙もスニーカーの足を路上のストライプへと踏み出した。大学から自宅への通学経路において唯一の大通りは人と […](更新日:2016月10月16日)
6 馴染み(後)
 本作品は性描写を含みます   宵の喧騒、すれ違う人々は憔悴しきった現世の男を怪訝な目で見ながらも声をかけることはしない。あの世もこの世もおんなじだ。皆、己の安寧を害してまで人と関わろうなんざしやしない。「この世」に楽土 […](更新日:2016月10月16日)
7 心中
 目が覚めるとまだ部屋の中は薄い闇が支配していた。どことなく気怠い身体を引き起こしながら記憶を辿る過程で己が一糸まとわぬ姿のまま畳の上で寝ていたことに気付く。見下ろした手は確かに人間のもので、触れた顔は確かに人間のもの。 […](更新日:2016月10月16日)
「暗夜戀心中」後記
「暗夜戀心中」完結までお付き合いいただきましてありがとうございます! 普段完結した作品は後日談として短編をアップしていくことが多いのですが(今回もそうする予定ではありますが)、諸々語り足りないところもあるので後記という形 […](更新日:2016月10月16日)

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