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双子大蛇×青年

結局のところ幸せになりたかったんだろ、パンプキンヘッド?
 それは不幸な事故だった。  赤髪赤眼の古い友人が今日はハロウィンだろとそう律儀な性格でもないくせにかぼちゃのパイと巨大なジャックオランタンを持参したのが一時間前。アンティチークの帰還にあわせてお茶の時間にしようかと湯を […](更新日:2016月10月29日)
コルコバードの月抱けば
 小さな鍋にくつくつと沸いた湯の中で、じゃがいものニョッキが道化師が得意なジャグリングのように踊っていた。  外は夕暮れ時。天窓からは斜めになったオレンジ色の光が差し込み、キッチンを鮮やかに染め上げている。ごく慎ましいス […](更新日:2016月10月30日)
優しい口付けのようなアルティチュード
 日が暮れようとしていた。何百、否、何千何万もの人々に踏みつけられてきたスラム街の路地の土が湿り気を帯びる。普段、歩き慣れた苦楽商店街を少し離れ、ネーヴェもその土をやはり踏みつけて歩いていた。落ちかけた西日が建物と建物の […](更新日:2016月10月30日)
夜話にウォッカマティーニを ~ Seconds!
 ぼんやりと意識が目覚めた。視界は生成り色の柔らかな布。まだ起動を始めて間もない頭が考える。これはベッドだ。当然だ。鼻先を掠める自分の匂い。沈む身体は極上に重たいが、此処は確かに自分の寝床。青い瞳に映る世界はすでに明るく […](更新日:2016月10月30日)
夜話にウォッカマティーニを
 アリスゼルは半眼になって目の前の惨状を見下ろした。  惨状。そう正しくそれは惨状と言っても良いだろう。ドーム状に繰り抜かれたみたいな部屋にはふかふかの真綿と水苔が、いっぱいに敷き詰められ、ともすれば足が取られて転んでし […](更新日:2016月10月30日)
夜話にウォッカマティーニを ~ EMPTY!
 ぶわっと紫煙が刷ける世界の向こうからエンジン音がやってくる。  戦闘の余韻に興奮している二匹の大蛇は早々に下がらせ、一人夜明け前の空を眺めていたアリスゼルは、射抜くような真紅の瞳をゆったりと音のする方にやった。遠めに見 […](更新日:2016月10月30日)
愛する夜のブルーマルガリータ 1
 漸く氷の礫のような雨が止んだ、早春だった。  気温は日ごとにぐんぐん上昇し、乾ききった冬の季節を経て、ちょうど良い具合に水分も得た大地は活力を取り戻し、そう、ブラックマーケットの舗装されていない僅か十センチ程度の店と店 […](更新日:2016月10月30日)
愛する夜のブルーマルガリータ 2
 地下室の改築に要した時間は約三日だった。元よりネーヴェが保持していた膨大な量の書物やガラクタは、三つあった地下室の中の一つに集められ、階段を降りてすぐの最も広い部屋は総タイル張りの床が漸くお披露目となり、アンティークの […](更新日:2016月10月30日)
愛する夜のブルーマルガリータ 3
 本日、八の第二周期、四日目。世界は事もなく、茹だるような、蒸しあがるような熱が続く街、《ヤツハカ》の片隅。獣商を営む一人の異形の青年―ネーヴェは長い髪を高く結い上げ、くぉんくぉんくぉん、と気の抜けた音を発するファンが、 […](更新日:2016月10月30日)
愛する夜のブルーマルガリータ 4
 二つの卵が感動的な孵化を遂げてから今週で約半年。言い換えて六ヶ月。季節は早春から初秋へ移った。しかし、年中最低気温が十七度を下回ることのない《ヤツハカ》では、秋めくと言ってもそれは路傍の草や低木のこと。確かに頬を撫でる […](更新日:2016月10月30日)
愛する夜のブルーマルガリータ 5
 今まで地下に降りるに当たって、憂鬱な気分になったことなど、ただの一度もなかった。だが、現在、ネーヴェは憂鬱だ。しくしくと何か得体の知れない棘が引っ切り無しに心臓を苛み、指先が痺れてくる。階段の上から下までは僅かな距離。 […](更新日:2016月10月30日)
愛する夜のブルーマルガリータ 6
『ネーヴェねぇ…難儀な名前』  開口一番、彼女がそう言った言葉のアクセントまでも、ネーヴェは正確に覚えている。紫煙を燻らせ、ツンと尖った顎が女性らしからずスタイリッシュな彼女は《ネール》という名を持っていたが、ネーヴェは […](更新日:2016月10月30日)
愛する夜のブルーマルガリータ 7
 一つ大きく息を吸ってから、鍵を開ける。それは掛けた時とほぼ同様の、がっちゃんという金属音をたてて、静かに開かれた。何時も通り緩やかな空気が支配した空間が出迎える。何時もと、以前の《何時も》と違うのは賑やかな出迎えの声が […](更新日:2016月10月30日)
愛する夜のブルーマルガリータ 8
 本作品は性描写を含みます   そもそも異形というのは身体に余分なパーツが多いもので、それが頭部や顔ならばまだ良いのだが、首から下となれば人間用に作られた服が全く持って着用に不便だという重大な問題を抱えることになる。無論 […](更新日:2016月10月30日)

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