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刀剣乱舞(二次創作)

刀剣乱舞 審神者覚書
神山 火焔(かみやま かえん)  蠱毒を生業とする神山家の次女。冷静沈着で戦ごとに長け、何よりも戦場を愛する。初鍛刀で天下五剣を神降ろしし、十年に一度の逸材と評されるが本人は周囲の評価などどこ吹く風で、今日も刀剣たちとと […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 ぬばたまの夜に三日月
 口唇が触れ合おうかという距離である。  先程まで縁側でゆるりと月を眺めていたはずの視界いっぱいに映るのは女の酷く整った顔立ち。白皙の肌には傷一つなく、戦場とはおおよそ縁もゆかりもなさそうなのに、いざ砂埃と血臭にまみれた […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 流転の浅葱
 天高く鳶が旋回しながら鳴いている。空気は程良く乾いて青く、本丸の庭にむせ返るように咲き乱れていた桜の花も散って久しい。日に日に勢いを増す草木の勢いは衰えることを知らず、池から蛙の声が聞こえてくるまであとほんの少しと言っ […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 鶴は夜明け前に二度鳴く
 生ぬるい泥のような闇の中でぽつりぽつりと何かが明滅している。瞼が重く、腕も重く、脚も重く、何もかもが思い通りになりはしない。立たなくては、と心は急くのにままならない。背中を冷たい汗がつたうのは現実だろうか。ゆらりと頬を […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 蛇の道は蛇なればその先は地獄
「神山火焔(かみやま かえん)様ですね」  その声は決して疑問形ではなく、確証を得た上での念押しでしかなかった。生温かい風、腐臭、鉄錆の匂い。そういったものにまとわれつかれた女は鬱蒼と視線を落とす。脳裏にはただ一言油断と […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 業火の護り人
 夜露が草を濡らし、地を湿らせ、日が高い内は息を殺して身を潜めていた連中が真暗の闇から這い出してくる頃ー要するに丑三つ時である。本丸内は昼間とは打って変わって静まり返り、晩春のまだ桜も散り切らぬ時分では蛙の声も虫の音も聞 […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 業火の護り人と鶴の寝床
「こいつぁ驚いた」  聞き慣れた台詞が耳に届き、自身が眠っていたことにようやく気付く。重たい瞼を押し上げて、霞んだ視界の中で目を凝らせば、暗闇の中でもはっきりと輝く白い衣装。髪も肌も夜着さえも純白。それ以外の色の一切を拒 […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 誰ぞ彼と闇に吠えれば
 京都市中は深い夜の帳が落ちてから数刻も過ぎ、濃密な静寂の中にあった。数え切れないほど立ち並んだ長屋の戸は固く閉ざされて虫の入り込む隙間もなく、溝板の上を時折駆け抜けるのは鼠ばかりで人の気配は全く感じられない。湿った夜風 […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 酔うて恋うて咲けや合歓花
 しっとりと濡れた夜気は山を、森を、屋敷を、眠りに就いた厩を、橋の欄干を、芽吹いたばかりの銀色の芽を包み込み、密やかに音を奪い取る。薄い霞は視界をぼやけさせて眠りを誘い、そよりとも吹かぬ風は黙して頭を垂れた。微かな白光は […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 人狼審神者・尾上暁良は牙を剥かない
 皐月の風が若草の匂いを運び、葉桜の梢が揺れる度に斑の影がちらつく。日差しは頂点から少し傾き、忙しなく鳴き交わしていた小鳥の群れもどこかへと飛び去ってしまった。道場からは鍛錬に汗を流す者たちの威勢のいい声が時折聞こえ、馬 […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 夜天に放つ
「次郎ちゃん、一緒に飲んでいいか?」  そう言いながら彼がひょっこりと顔を覗かせるのは決まってひとり酒のときだった。枝葉を広げた桐の花や群青色の空に引っかかった月を肴に飲んでいるとまるで見計らったかのように絶妙な間合いで […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 大蛇審神者・東条姉妹は手を出さない
 生まれて初めて二つのまなこで見たものを人間はおぼえているものなのだろうか。  御手杵は寡聞にしてそれを知らず、それ故に自分の網膜というものに焼き付いたその光景が特筆すべきものなのかわからない。ただ、その日のことは付喪神 […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 今夏、蛇の目を思ふ
 大気を鳴動させる勢いで蝉が鳴いている。東の空より灼熱の太陽が昇り、熱波を放出し続けること早数時間。夜明け前から早々と鳴き出した虫の合唱はいよいよ激しくなり、照りつける日差しは本丸御殿の瓦屋根をことごとく焼き、随所に陽炎 […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 角持ち審神者・金城羊は世界を恨まない
 この本丸というものが正確に「どこ」にあるのか蛍丸は知らない。  わかっているのはこの場所は時代と時代の狭間に位置するということ。空間を歪ませ歴史を改変しようとするものたちを追い、食い止めるために作られた刀剣たちの居城は […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 魔女審神者・雪水薫子は愛するための余白を持たない
「江雪、江雪左文字」  小鳥の囀るような声が江雪を呼ぶ。庭先で盛りの紫陽花を一花一花慈しむように撫でていた袈裟姿の刀剣が振り返る。  視線の先には少女がいた。  時代が数百年は遡ったかのような平山城の本丸御殿に似つかわし […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 新米審神者・神山遊馬は近づかない
 その本丸はそれはそれは至って平凡だった。  主は物腰穏やかな年若い男性で没個性の灰鼠色の袴に顔上半分を覆う白狐の面を着けている以外に特筆すべきことは何もなかった。口調は柔らかく何事も強く主張することはなく、陣触れでさえ […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 あなたのいる明日が来る
 盛んに鳥が鳴き交わす声で目が覚める。虚ろな視界は寝起きゆえかほろほろと霞み、墨の匂いは思い出したように鼻先をかすめた。行灯の火はとうに消え、青白い光が障子の向こう側から差し込んでは格子模様の薄い影を畳の上に残している。 […](更新日:2016月10月15日)
刀剣乱舞 湯けむりこんとん座談
 秋の夜長の色濃い闇が辺り一帯を支配し、空に掛かる月は叢雲に隠れてわずかな明かりしか寄越さない。視界は優しい暗闇に閉ざされ、嗅覚は一層の鋭敏さを増し、どこからともなく漂ってくる金木犀と硫黄の匂いが交互に鼻腔を埋め尽くした […](更新日:2016月10月25日)
刀剣乱舞 秋麗らかに朱色
 執務室から見える景色がいつのまにか朱の色に染まっている。季節は巡り、花は散り、芽吹いた若葉は厚くなり、やがて色付く。この本丸御殿の庭にも例外なく変化は訪れ、春には薄紅色の満開を見せてくれた桜も今や黄や赤に煤けた葉を一枚 […](更新日:2016月11月6日)
刀剣乱舞 応報の炎
 目を開けばそこは草木も眠る丑三つ時の闇がめいっぱいに広がっていた。風はなく梢の擦れる音もなければ、虫の音が鼓膜を震わすこともない。耳に痛いほどの無音の世界の中でゆっくりと布団から身を起こした火焔は神経を研ぎ澄ませる。爪 […](更新日:2016月11月11日)
刀剣乱舞 一歩一歩また来てここから
「五虎退、お話があります」  そう、いつになく畏まって主が言ったのは霜月も半ばに差し掛かった昼下がりのことだった。  枯れ草の匂いを含んだ風はきらきらと七色に輝いて蒼天の下を駆け、 時折緩く渦を巻いては庭の池の水面を揺ら […](更新日:2016月11月16日)
刀剣乱舞 実るは秋のみならずや
 天高く空晴れ渡り、風は中秋の稲穂がさざめく音を絶え間なく連れてくる好日。  時の政府の命を受け、刀剣の付喪神を降ろし彼らとともに戦う審神者なる任に就く神山火焔は今日も今日とて広間で皆と一緒の朝餉を摂り、本日の行軍と内番 […](更新日:2016月11月20日)
刀剣乱舞 真夜中にっかり会談
 ひたりひたりと足音立てず、しかれど気配は殺さず、ゆったりとした足取りで近付くのが彼女特有の癖であると気が付いたのはごく最近のことだ。  それまでにっかり青江にとって主とは姉妹のうちの姉でも妹でもなく、言うなれば「二人の […](更新日:2016月11月27日)
刀剣乱舞 僕と赤眼モンスター
 まぶたを柔らかく刺す日の光にか、はたまた風が吹く度にひらりはらりと頬を撫でる落葉にか。  いずれにせよ神山火焔はふと目を覚ました。一瞬、己がどこにいるのか把握できず、ぼんやりと視線を彷徨わせる。ぼやけた視界に映るのは黄 […](更新日:2016月11月30日)
刀剣乱舞 春待てど春あり
 何はなくとも師匠も走る師走である。庭の雪は積もっては溶けてを繰り返し、しっとりとした冷気はどこにいても足元から忍び寄ってくる。火焔が主に執務を行う部屋は長らく暖房器具は火鉢のみであったが、今月に入りようやく炬燵が導入さ […](更新日:2016月12月17日)
刀剣乱舞 本丸歳時記~睦月・正月~
 睦月朔日、即ち一年の始まりの日。  無事年を越すことができた本丸も今日ばかりはと朝から延々飲めや歌えやの大騒ぎが続いていた。常であればいい加減近侍であるへし切長谷部の雷が落ちてもいい頃合いだが、何しろ本日はハレの日で、 […](更新日:2017月1月2日)
刀剣乱舞 蛇は炬燵で丸くなる
 執務室の片隅に据え置かれた長火鉢で炭が赤々と燃えている。温められた空気は立ち昇りて天井へと衝突し、やがて降りてくるにつれて床の間も畳もじわじわと熱を帯びる。現代の家電製品ではなし得ない穏やかな暖房はどちらかというと東条 […](更新日:2017月1月7日)
刀剣乱舞 本丸歳時記~如月・節分~
 「種苗」と書き付けた看板を高々と掲げた店は間口が広かった。木戸をすべて取り払い、降り注ぐ早春の日差しが差し込む店の中へ一歩足を踏み入れると湿った土間の匂いがつんと鼻をつく。床一面に所狭しと並べられた苗は花も野菜も万遍な […](更新日:2017月2月5日)
刀剣乱舞 君と雪解けを待つ
 春一番が湿った黒い雲を引き連れて吹き、嵐のような暴風雨が一晩続いた翌日のこと。  縁側に刀が一振り落ちていた。  舞い落ちる直前の紅葉のように真っ赤な髪、こぼれ落ちそうなほどに大きな瞳は翠玉と紅玉が見事に融和した美しい […](更新日:2017月3月17日)
刀剣乱舞 其は刀の本懐にあらねども
※このお話は「享保名物帳」の後藤藤四郎に関する記述を元に書かれた妄想です※  その日はやはり屋敷のすべてがどこか浮き足立っていたように思う。  後藤藤四郎は当然まだ刀剣男士ではなく、言うなればこれは刀剣男士たる後藤藤四郎 […](更新日:2017月3月19日)
刀剣乱舞 ここへただいま
 炎の如く目立つ真紅の髪をキャスケット帽の中に押し込んだ少年は興奮を抑えきれぬまま女の腕をぐいぐいと引いて先導する。  駅前で借りた軽自動車を少し離れた駐車場に停め、およそ徒歩三分。城址公園のお堀沿いに見えてきたのは赤い […](更新日:2017月5月22日)
刀剣乱舞 コイは闇
 焼き付けるような太陽の光は手心を加えるということを知らないのか。  白く霞んだ景色の中でぞろぞろと咲き連なる百日紅の赤だけが鮮明に網膜に焼き付き、つばの広い麦藁帽子から見える視界はひどく狭かった。厨から本丸御殿の縁側へ […](更新日:2017月8月29日)

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