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カリギュラ(二次創作)

カリギュラ 山梔子は理想世界の夢を見るか
 花巻壱一(はなまきいつひと)。  確かに自分の名であるはずのその単語を何度心の中で繰り返しても常に違和感が拭えないのは、それが本来二人の妹と三人で一つの言わば三つ鼎になることを前提とした名前だからなのだと思う。  花巻 […](更新日:2017月5月6日)
カリギュラ 月桂樹の葉のひとひら
 ある晴れた春の日だった。  気候さえ完璧に制御されたこの世界では天候が荒れることなどまずないのだけれど、中でもとりわけ素晴らしく過ごしやすい昼下がりだった。そよそよと吹く春風が草木を柔らかく揺らし、花の香は風に乗ってど […](更新日:2017月5月6日)
カリギュラ リンデンバウムの窓辺
 二人のバーチャドールによって創生されたこの世界では音楽といえばDTMのことで、DTMといえば音楽のことを指す。ゆえに実際の楽器を使って演奏するという文化そのものが希薄になっているらしく、それはこの旧校舎二階の片隅に設け […](更新日:2017月5月6日)
カリギュラ レインツリーの箱庭
 大気を鳴動させて雷鳴が轟く。霞がかった碧空はいつの間にか鼠色の曇天と化し、空気はたっぷりと湿気を含んで無闇に重たい。獣の唸り声にも似た雷電を蓄えていた空が堪えきれぬようにぽつぽつとしずくを落とす。新緑にも無機質な校舎の […](更新日:2017月5月6日)
カリギュラ ハナミズキが芽吹くまで
「嫌われてるわけじゃないと思うんだよね」  その唐突な呟きに案の定目の前にいた小さなバーチャドールはわかりやすくなんのコト?という顔をしてみせた。  駅前のコーヒーチェーン店のテラス席で、舌を噛みそうな商品名が付けられた […](更新日:2017月5月6日)
カリギュラ 一寸の人の子に五分も魂あればよい
※花巻壱一の現実にまつわるお話※  吹く風はどこか涼やかだが、日毎差し込む光が険しくなってきた皐月も下旬の頃。  広大な敷地内にどっしりと構えられた古式ゆかしい屋敷の縁側に一人の女がいた。一つに括った黒髪に切れ長の瞳、白 […](更新日:2017月5月6日)
カリギュラ 花よ嵐の前触れと
 嵐の余韻を残した風が雨の匂いを含んで気持ちよく吹きおろす午後だった。  汗ばむ掌が掴んだ鞄を持ち直す。水たまりを避け、歩行者用信号を赤にするボタンを押した。間断なく現れる乗用車の群れは黄色から赤に変わった電光に従順に従 […](更新日:2018月6月2日)
カリギュラ 欠け骨の白百合
 中天に鯨の骨みたいな三日月が一つ、目も冴えるような白さでひっかかっていた。  この世界にも月は昇るし、満ち欠けもする。ただし、それは紛い物で、ただのコピーで、まやかしだ。緞帳の向こうで揺れるボール紙の月よりはリアリティ […](更新日:2018月6月2日)
カリギュラ 咲いてひと夏、恋花火
 メビウスこと電脳空間に作られた仮想都市、宮比市は今日をもって連続真夏日五日目を迎えていた。  苛烈な太陽の日差し、不快指数を底上げする湿度、振り絞るように轟く蝉しぐれ。何もかもが日本の正統な夏を形作る重要な要素には違い […](更新日:2018月6月8日)
カリギュラ 花の雨降る吉日に
 たとえば、あのとき右じゃなくて左を選んでいたら、なんて瞬間が誰しも一度くらいはあるはずだ。  たとえば今日の帰宅部の活動が早めに切り上げにならなかったら。たとえば彩声が部室を後にする集団の最後の一人でなかったら。たとえ […](更新日:2018月7月8日)

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