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カニバリズム

食欲性恋愛衝動 1
 物音が遠くから近づいてくる。なんだろうか。給餌の時間にはまだ早いはずだ。  目を開けると目の前には常と変わらぬただ薄っすらとした闇だけが広がっていた。ほぼ無意識のうちに舌を素早く出し入れすると、二股に別れたそれは鋭敏な […](更新日:2016月10月29日)
食欲性恋愛衝動 2
 端的に言うと、メルキュリアは非常に優秀な男爵のつがいとなった。  彼は男爵との交尾を拒むことは一切なかった。舌同様二股に別れた生殖器を二つの穴で咥え込む様は淫靡で妖しく、また男娼としてあるまじきことに演技というものを知 […](更新日:2016月10月29日)
食欲性恋愛衝動 3
 悲鳴のような泣き声はこの世の終わりのように響き渡り、ある者は苛々を募らせ、ある者は不安定になり、ある者は胃痛を悪化させた。他方、館を取り仕切る役目を持った男はといえば、眉間に深い皺を刻んでいつものように仁王立ちで腕を組 […](更新日:2016月10月29日)
幸せにはなりたくない
「無駄なのに。」  それが彼女の口癖だった。いつも物憂げそうに、彼女は唇を開いてそう言った。囚われの彼女。囚われて、囚われて、指先と視線しか動かすことは出来ぬのに。身に迫る確実な死の予感に震え、涙を流し、命乞いをするなん […](更新日:2016月10月30日)
蝶が死んだ。
 蝶が死んだ。  黒と青の斑の蝶だ。硝子張りの室内で一匹だけで飼っていたから、特に子孫を次に残すということもしなかった。処女のまま死んだ柔い命をそっと掌で掬う。蝶が死ぬのを待っていたかのように、白い花を付けていた橘の木も […](更新日:2016月10月30日)

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