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2017年

刀剣乱舞 猫も小判と夢うつつ(後藤藤四郎)

 後藤藤四郎はご機嫌だった。
 その証拠につやつやと鼻は濡れ、針の先みたいな小さな爪は前足の丸みから出たり入ったりを盛んに繰り返していた。ふくふくと広がったひげ、極限まで細められた目。黄褐色にトラ柄を白で描いた毛並みは太陽の光を受けてきらきらと光り輝き、先が少し折れ曲がった長い尾が床を掃く往復運動を止めることはなかった。
 その後頭部を力強く舐めあげるのはざらついた舌だ。薄らと目を開くと真っ黒な毛並みを持つ大きな猫がせっせと後藤に毛繕いを施してくれているところだった。
 後藤には兄弟が他に三匹もいる。彼女と同じ黒い毛並みに紫苑色の瞳を持った薬研藤四郎。同じく黒い毛並みだがこちらは尾が短く、瞳は灰色の厚藤四郎。そして一際長い尾と夕焼けのような赤毛の信濃藤四郎。彼らは一塊になり、ここから少し離れた陽だまりでまどろんでいた。だから、だからこそ今この瞬間に彼女を独占できるのは後藤だけだ。その黒々とした目が見つめるのは彼女がこの世であなただけの景色と誉めてくれた後藤の毛並みで、その柔らかな肉球が優しく押さえるのは彼女が幸運を引っ掛けるためにあるのだろうと言ってくれたぼさぼさの鍵尻尾。
 喉の奥の振動は留まるところを知らなかった。この瞬間が永遠に続けばいいのにと思ったし、ときが止まってしまえばいいとも思った。温かくて心地よくて時折吹く風が花の香りを運んでくるこの場所でいつまでもこうして。
 突然、にゃあんと彼女が鳴いた。甘い、甘い声だった。
 音もなく差し込む影で誰かが来たことを知る。その姿をなぜか後藤は見たくないと、そう思った。けれどもそういうわけにもいかない。意を決して目を開き、金色の虹彩が映したのは鮮やかな浅葱色の毛並み。三角形の耳も長い尾も随分と姿形が整っていた。その「雄猫」もまた甘ったるい声で彼女に答える。ぐるぐると喉の鳴る響き。それが首を伸ばした彼女のものだと気付くのに数秒かかった。浅葱色の猫はゆったりとした足取りで彼女に寄り添う。まるでそうであるのが当たり前であるかのように彼女の鼻先に己のそれをちょんと付け、そして。
「いや、いち兄はだめだろ!?」
「うるさい」
「後藤、うるさい」
「うるさい、後藤」
 飛び起きた後藤藤四郎に間髪入れず兄弟たちの苦情が突き刺さる。
 見渡せばまだ早春の夜の闇は深く、冴え冴えとした月の光が障子戸を通して差し込んでいた。寝間着の合間から忍び寄る空気はひどく冷え切っている。その温度は夢中の陽だまりとは雲泥の差ではあったけれど、後藤は安堵のあまり大きく息を吐き出した。夢かぁという嘆息には万感の毛玉がいくつもまとわりついているようだった。


「#大将組版深夜の創作60分一本勝負」参加作品
お題「猫の日」
瓜野(@u_butterfly_o)


2017.02.22

J庭42参加のおしらせ

 明日はいよいよJ.GARDENですねー!【Bホール さ15a イバラボシ】でお待ちしております!


詳細はオフラインページにもあります

 隣接は毎度お馴染みあさいさん(界域観測)です。基本的に私がスペースにおりますが、不在の際は売り子さん対応させていただきますので、気軽にお声かけください。

 また、お取り置きのご依頼や通販のお申込みありがとうございます!承っております!

 お取り置きのご依頼は3/5当日朝まで、通販のお申し込みは3/4本日夜ぐらいまでを予定しておりますので、ご利用予定の方はなにとぞよろしくお願いいたします。

 ではでは、会場でお会いできることを楽しみにしております!

J庭42御礼

 本日はJ.GARDEN42お疲れ様でした!当スペースに足をお運びいただいた皆様、ご挨拶させていただいた皆様に重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。
 新刊、既刊ともに手に取っていただけまして大変嬉しかったです!また嬉しいお声掛けをいただいたり、差し入れをいただいたり、何かといただきっぱなしですみません…大したお返しもできないのですが、今後とも末永くJ.GARDENというイベントで本を出していきたいなとは思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 新刊の通販に関しては順次発送を行っていきますので今しばらくお待ちいただければと思います。

 以下、写真や所感など。

 スペースはこんなかんじでした。新刊はもちろん既刊も一緒にと仰っていただくことも多くてとても嬉しかったです!


 会場入り口のお花。J庭のこのハレの日なかんじがとても好きです。今日は緑基調でシックながら来る新緑の季節といった風情でしたね。素敵。


 ところで今回スペースにいる間は名札を付けていたのですが私にご用のある方にはわかりやすかったですかね…?裏に通行証も入れられて便利なので次回以降も使おうかな。

刀剣乱舞 本丸防衛戦開幕一刻前

 這い寄る春の闇が山の奥から降りてくる霞を食らって黒を深め、ただじっとりと息をひそめているような夜だった。
 すべての部隊は大きな損害もなく無事帰還。刀剣男士たちは揃って夕餉を終え、各自風呂に入ったり、雑務をこなしたり、思い思いに過ごしていた。
 特に本丸御殿で一番大きな広間には粟田口派の短刀をはじめとした刀たちが行灯の光に吸い寄せられるように多く集まっている。皆で固まって何をするというわけでもない。ある者は隅っこで寡黙に本をめくり、ある者は帳面に何やら書き付けをし、ある者らは習ったばかりという折り紙に興じ、またある者らは囲碁の対戦に夢中だ。そうして、そんな刀たちの輪の奥で一人女が脇息に寄りかかり、ひっそりと目を閉じている。他ならぬ刀剣たちの主である彼女はたとえどれほど騒がしかろうと、その気配が、声が、心地よいのだと言って譲らない。もうほとんど眠っているであろう彼女に弟の一振りである前田藤四郎が自身のマントを掛けてやる。前田が寒いのでは?そう問うた平野にゆるゆると首を振った少年はどこか満足そうだった。
 そう、穏やかな夜だった。
 叢雲から時折顔を覗かせる月は真円に等しく、冴え冴えとした白い光を縁台へと投げかける。空気は湿気を含み、重たい。その中にはすでにもう色濃く目覚めの季節の匂いが混ざり始めていた。
 だから、きっと薬研藤四郎は「それ」に気が付くのが少し遅れたに違いない。
 最初に胡乱な顔をして見せたのは、乱藤四郎と真剣な面持ちであやとりに取り組んでいた信濃藤四郎だった。らん、とその不可思議な色合いの虹彩が輝き、どこか遠くを見遣る。夜の奥のそのまた夜の果てを。見据えるかのような動きに乱も何事かと眉をひそめたが、しばらくしてあっと小さくこぼした。その頃にはもう広間にいるほとんどの刀剣たちが異変に気が付いていた。何しろ索敵を得意とする短刀や脇差ばかりが集まっている。皆一様に顔を見合わせ、夜の静寂に耳を澄ませる。それは身に染みた、どこか懐かしいといってもいい気配だった。納められた白刃の高揚、染み込んで取り除けない血臭、甲高い音をたてて触れ合う金属、戦場の、五感。
「大将、」
 そう声に出したのは厚藤四郎だっただろうか。皆の視線が一挙に広間の奥へと集中する。
 そこには一人の女がいた。否、そこにいるのは何を隠そう歴戦の大将、並みいる刀たちの主君にして我らが主だった。
「門がこじ開けられた。夜間急襲を確認」
 黒いまなこをひたりと見据え、落ち着き払った声が発せられる。黒い髪がどうとうねり、反して白い喉元がまばゆいほどに闇に蠢いた。
「前田、平野。他の刀剣たちに伝達を。静かにな」
「はい、主君」
「承りました」
「鯰尾、骨喰は偵察に向かえ。まだ一の門より内部には侵入されていない」
「了解!」
「了解した」
「他の者は迎撃準備を。戦支度を急げ」
 その声を合図に皆ぞろぞろとけれど音もなく素早く広間を出ていく。ものの数十秒も経たぬうちに残ったのはたったの四振りだけだった。皆、それぞれの役目を理解していた。まだ本丸内部にまで敵が侵入していないとはいえ、もしもの場合もある。大将をたった一人残せるものか。留まった刀の顔を一振り一振り順繰りに見回し、主は呆れとも感銘ともつかない息を吐く。まったく示し合わせたわけでもないのに。否、その声色は大いに愉快そうに笑っていた。
「俺たちがいるなら安心でしょ、大将」
「大将のことは俺たちが守るからな!」
「オレたちがついてないとすぐ敵陣に突っ込んでっちまうからな、大将は」
「俺たちは守り刀としても名高い吉光の短刀だ。まあ潔く守られてくれや」
 なあ大将。その言葉に今度こそ彼女は声をあげて笑った。
 本丸防衛戦開幕まであと一刻。


「#大将組版深夜の創作60分一本勝負」参加作品
お題「守る」
瓜野(@u_butterfly_o)

2017.03.19

刀剣乱舞 忠実なる狂犬(乱藤四郎、女審神者)

 そもそも会議は煮詰まっていた。
 言いようのない苛立ちは積もりに積もって部屋中を重苦しく支配し、淀んだ空気は更なる険悪の種をまく。だからきっと彼女がその一言を発さずとも何かがいつかは引き金となったはずだ。けれど彼女は決して気の長い方ではなかったし、何より非生産的な時間の浪費に二十分も前からうんざりしていた。正直二十分耐えただけでもだいぶ誉めて欲しい。いや、誉められて然るべきである。
 あらゆる理論で己の主張を正当化し、結局彼女の放った一言は見事に隣席の血の気の多い男を激高させた。まるで瞬間湯沸かし器だなあと胸ぐらを掴まれながら彼女はのんびり考える。男の罵声は右の耳から左の耳へと素通りし、ただ距離が近いだけに鼓膜を突き破りそうな音量とヤニだらけの口から飛び散る唾だけが非常に不愉快だった。
 眉を顰めた拍子にぐっと襟元の力が強まる。馬鹿にされたと思ったのか、あるいは更なる制裁を加えようとしたのか。いずれにせよ男の次の行動は実現することはなかった。なぜって、懐の中で震える刀の怒りが早くも頂点に達したからだ。
「みだれ」
 そのたったの三音を言い終えるか終えぬかのうちに呼吸を阻む力はあっという間に消え失せた。薄紅色のリボンと金色の長い髪の軌跡が弧を描き、まるで肉食の獣のように男の身体を軽々と押し倒す。どさりと人間が無様に床へと落ちるのに反し、革靴の踵を高らかに鳴らし、少女のような形をした刀剣男士は逆手に構えた刃を手にその上へと覆いかぶさる。切っ先は違わず喉へ。剣呑に光る青色の目を爛々とむいた抜き身が、じっとりと凄味を含んだ声を喉の奥から引きずり出す。
「汚い手であるじさんに触るな」
 ひぇっという悲鳴は誰のものか。蛇に睨まれた蛙のように動かなくなってしまった男と獲物に狙いを定めた美しき獣。目も覚めるような鮮やかな光景に先程の眠たげな会議の様子はまるで嘘のようになくなっていた。残ったのは圧倒的緊迫感と緊張感。素晴らしい。やはり軍議とはこうでなくてはいけない。
「乱、こちらへ」
「はーい」
 短刀乱藤四郎は決して狂犬ではない。よって主の声一つでぱっと身を翻すとおとなしく傍へと舞い戻る。倒れた椅子を直し、元通り席へと着く。異様な雰囲気に包まれた場の空気を打ち壊すかのように彼女はわざと快活な声を出した。
「さあ、審議を進めましょう」
「ま、待ちたまえ!貴殿の刀を仕舞われてから…」
「なんでさ!ボク、静かに待ってるよ!」
「と、本刀も言っておりますし。それに肝心の刀剣男士がいる方が皆様も議論に身が入りましょう」
 議場はわずかにざわついたが、それ以上反論する者は誰もいなかった。指を組んだ彼女はにこりとわざとらしいばかりの笑みを浮かべてみせる。その後ろで粟田口吉光の青白い乱れ刃が不敵に微笑んで仁王立ちしているのを勿論知った上で。
「さあ、審議を進めましょう」
 もう一度同じ台詞を繰り返す。


2017.03.27

刀剣乱舞 キミがタメ(物吉貞宗、後藤藤四郎)

※妄想です※


「物吉、頼んだ」
「はい!みなさんに幸運を!」
 江戸城調査任務が下った本丸では連日調査部隊の派遣が続いていた。中でも必ず部隊長を命じられるのは物吉貞宗。無銘刀ながら携えて戦に出れば負けを知らぬとの逸話から徳川家康公に寵愛された貞宗派の脇差だ。物腰は穏やかで、華奢な体躯、緩くうねった蜂蜜色の髪に同色の瞳。柔らかい花弁を持つ花が綻ぶが如くの笑みは嫋やかなれど、戦場に立てば刀の矜持を忘れぬ横顔を見せる。
 そんな彼が此度の任の部隊長に指名される理由はただ一つ。それは彼が持つ「幸運の刀」という肩書きをおいて他にない。即ち物吉貞宗が選ぶルートに不要な敵はなく、ことごとく宝箱を見つけ、必要最低限の距離で脱出ゲートへと辿り着く。ゆえに部隊は最高の効率で最大の結果を得ることができていた。道中も危険を察知した場合は物吉がいち早く伝令を行うため、奇襲を受ける心配もなく、部隊はどちらかというとのんびりとしている。主も通常ならあまり機会のない部隊構成や戦術を実験的に試そうと考えているのだろう。普段は同じ粟田口派の短刀とともに夜戦へと出陣することの多い後藤藤四郎が珍しく物吉貞宗と同じ部隊なのもそういった理由があってのことだった。
 江戸城に潜入してから早一刻。道筋はそろそろ中盤に差し掛かろうかというところらしい。部隊の先頭に立ち、なんの迷いもなく歩を進める物吉の隣に並び立てば、相変わらずのにこやかな笑みが後藤を出迎えた。
「すげーよなお前」
 何かしら向こうから声をかけてこようとしたのを先制して遮ると、開きかけた口がぽかんと開く。そのまま首を傾げた物吉はなんのことかと真剣にわからないようだったが、後藤が幸運の刀ってやつ、と言い添えるとようやく察したのか、ああと緩く笑ってみせた。果たしてその笑みはいつものように穏やかなものに後藤には見えたのだけれど、しばらくすると彼はそれをどこか困ったように変えて、躊躇いがちにこう続けた。
「でも、どこの本丸のボクもこうではないと思いますよ?」
 虚を突かれ、後藤は思わず意味のない母音で聞き返してしまう。一方、物吉はその反応が予想の範疇だったのか、あくまで進軍の速度を緩めないまま、けれど常にない饒舌で語りだす。
「この幸運を呼ぶボクはあくまで主様の認識の元で成り立ってるというか…確かに元々ボクは幸運の刀なんて呼ばれてましたけど、それは語り継がれた逸話であって、もっと言えば偶然とかそうあって欲しいという願望であって、『真実そうであるか』なんて確かめようもないじゃないですか。でも今のボクの主様は愚直に、いえ極めて純粋にそれを信じてくださっている。だからボクはそれに相応しい幸運の刀であることを望み、ゆえにボクは幸運の刀として存在し得るんです。とはいえ、鶏が先か卵が先かって話にはなってきちゃうんですけど……」
 おそらく頭上に大量に飛ばした疑問符が見えたのだろう。ちょっと難しかったですかね?と気遣うように言った物吉にむっとする。確かに話の内容はよく理解できたとは言い難いが、要するには。
「つまりそれって大将が物吉のこと信頼して、期待してるってことだろ?」
「え?」
「だったら胸張ってればいいだけだろ。お前は大将の大切な刀で、お前はそれに相応しく立派に刀やる。それでいーじゃん」
「……キミって本当に…」
 何かを言いかけた物吉は言葉を途中で飲み込む代わりにふふっと喉の奥で笑ってみせた。それが決して嫌な感じがしなかったものだったから、後藤もつい言葉を見失ってしまう。
 物吉貞宗。幸運を運ぶ刀。眩いばかりの純白の同胞は光の下、晴れやかに笑ってみせた。
「確かに、後藤くんの言う通りですね!」


2017.04.02

雑記 それはそれとて桜咲くとて



 気が付けば4年もやっていたTwitterを閉めることにしました。本当に特段深い理由はないのですが、お気遣いいただきましてありがとうございます。
 今後はこちらのブログに日々徒然やらハマってるゲームのことやら書いていこうかと思ってます。これまで以上に雑多な感じになりますが、ふん!アンタの創作にしか興味ないんだからね!という方はページ下記のタグ一覧がお勧めです。指定のタグが付いたページのみ選出して表示してくれます。



 さて、こんな事務的な話ばかりではつまらないので、今私がドハマりしてるFGOの話でもしましょうかね。いやさせてくれ。
 独断と偏見のサーヴァント解説?ご紹介?なんかそんなの置いておきます。六章の途中まで進めていますが、ストーリー的なネタバレは特にありません。

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雑記 花さかり

 
 こんな景色を見ていると桜も一年咲けばいいのになあと思ってしまいますね。実際はぱっと咲いてぱっと散るから美しくて有難いんでしょうけども。

雑記 ドット絵


 習作。ドット描画ツールEdgeで描いてみました。うううん次はもうちょっと大きいサイズでチャレンジしてみます…

雑記 満開!

 

 

 

今日は愛機OLYMPUS E-PM2と!撮影地は駿府城公園周辺です。※クリックすると原寸大で開きます。サイズ大です。

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