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2017年3月

J庭42参加のおしらせ

 明日はいよいよJ.GARDENですねー!【Bホール さ15a イバラボシ】でお待ちしております!


詳細はオフラインページにもあります

 隣接は毎度お馴染みあさいさん(界域観測)です。基本的に私がスペースにおりますが、不在の際は売り子さん対応させていただきますので、気軽にお声かけください。

 また、お取り置きのご依頼や通販のお申込みありがとうございます!承っております!

 お取り置きのご依頼は3/5当日朝まで、通販のお申し込みは3/4本日夜ぐらいまでを予定しておりますので、ご利用予定の方はなにとぞよろしくお願いいたします。

 ではでは、会場でお会いできることを楽しみにしております!

J庭42御礼

 本日はJ.GARDEN42お疲れ様でした!当スペースに足をお運びいただいた皆様、ご挨拶させていただいた皆様に重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。
 新刊、既刊ともに手に取っていただけまして大変嬉しかったです!また嬉しいお声掛けをいただいたり、差し入れをいただいたり、何かといただきっぱなしですみません…大したお返しもできないのですが、今後とも末永くJ.GARDENというイベントで本を出していきたいなとは思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 新刊の通販に関しては順次発送を行っていきますので今しばらくお待ちいただければと思います。

 以下、写真や所感など。

 スペースはこんなかんじでした。新刊はもちろん既刊も一緒にと仰っていただくことも多くてとても嬉しかったです!


 会場入り口のお花。J庭のこのハレの日なかんじがとても好きです。今日は緑基調でシックながら来る新緑の季節といった風情でしたね。素敵。


 ところで今回スペースにいる間は名札を付けていたのですが私にご用のある方にはわかりやすかったですかね…?裏に通行証も入れられて便利なので次回以降も使おうかな。

刀剣乱舞 本丸防衛戦開幕一刻前

 這い寄る春の闇が山の奥から降りてくる霞を食らって黒を深め、ただじっとりと息をひそめているような夜だった。
 すべての部隊は大きな損害もなく無事帰還。刀剣男士たちは揃って夕餉を終え、各自風呂に入ったり、雑務をこなしたり、思い思いに過ごしていた。
 特に本丸御殿で一番大きな広間には粟田口派の短刀をはじめとした刀たちが行灯の光に吸い寄せられるように多く集まっている。皆で固まって何をするというわけでもない。ある者は隅っこで寡黙に本をめくり、ある者は帳面に何やら書き付けをし、ある者らは習ったばかりという折り紙に興じ、またある者らは囲碁の対戦に夢中だ。そうして、そんな刀たちの輪の奥で一人女が脇息に寄りかかり、ひっそりと目を閉じている。他ならぬ刀剣たちの主である彼女はたとえどれほど騒がしかろうと、その気配が、声が、心地よいのだと言って譲らない。もうほとんど眠っているであろう彼女に弟の一振りである前田藤四郎が自身のマントを掛けてやる。前田が寒いのでは?そう問うた平野にゆるゆると首を振った少年はどこか満足そうだった。
 そう、穏やかな夜だった。
 叢雲から時折顔を覗かせる月は真円に等しく、冴え冴えとした白い光を縁台へと投げかける。空気は湿気を含み、重たい。その中にはすでにもう色濃く目覚めの季節の匂いが混ざり始めていた。
 だから、きっと薬研藤四郎は「それ」に気が付くのが少し遅れたに違いない。
 最初に胡乱な顔をして見せたのは、乱藤四郎と真剣な面持ちであやとりに取り組んでいた信濃藤四郎だった。らん、とその不可思議な色合いの虹彩が輝き、どこか遠くを見遣る。夜の奥のそのまた夜の果てを。見据えるかのような動きに乱も何事かと眉をひそめたが、しばらくしてあっと小さくこぼした。その頃にはもう広間にいるほとんどの刀剣たちが異変に気が付いていた。何しろ索敵を得意とする短刀や脇差ばかりが集まっている。皆一様に顔を見合わせ、夜の静寂に耳を澄ませる。それは身に染みた、どこか懐かしいといってもいい気配だった。納められた白刃の高揚、染み込んで取り除けない血臭、甲高い音をたてて触れ合う金属、戦場の、五感。
「大将、」
 そう声に出したのは厚藤四郎だっただろうか。皆の視線が一挙に広間の奥へと集中する。
 そこには一人の女がいた。否、そこにいるのは何を隠そう歴戦の大将、並みいる刀たちの主君にして我らが主だった。
「門がこじ開けられた。夜間急襲を確認」
 黒いまなこをひたりと見据え、落ち着き払った声が発せられる。黒い髪がどうとうねり、反して白い喉元がまばゆいほどに闇に蠢いた。
「前田、平野。他の刀剣たちに伝達を。静かにな」
「はい、主君」
「承りました」
「鯰尾、骨喰は偵察に向かえ。まだ一の門より内部には侵入されていない」
「了解!」
「了解した」
「他の者は迎撃準備を。戦支度を急げ」
 その声を合図に皆ぞろぞろとけれど音もなく素早く広間を出ていく。ものの数十秒も経たぬうちに残ったのはたったの四振りだけだった。皆、それぞれの役目を理解していた。まだ本丸内部にまで敵が侵入していないとはいえ、もしもの場合もある。大将をたった一人残せるものか。留まった刀の顔を一振り一振り順繰りに見回し、主は呆れとも感銘ともつかない息を吐く。まったく示し合わせたわけでもないのに。否、その声色は大いに愉快そうに笑っていた。
「俺たちがいるなら安心でしょ、大将」
「大将のことは俺たちが守るからな!」
「オレたちがついてないとすぐ敵陣に突っ込んでっちまうからな、大将は」
「俺たちは守り刀としても名高い吉光の短刀だ。まあ潔く守られてくれや」
 なあ大将。その言葉に今度こそ彼女は声をあげて笑った。
 本丸防衛戦開幕まであと一刻。


「#大将組版深夜の創作60分一本勝負」参加作品
お題「守る」
瓜野(@u_butterfly_o)

2017.03.19

刀剣乱舞 忠実なる狂犬(乱藤四郎、女審神者)

 そもそも会議は煮詰まっていた。
 言いようのない苛立ちは積もりに積もって部屋中を重苦しく支配し、淀んだ空気は更なる険悪の種をまく。だからきっと彼女がその一言を発さずとも何かがいつかは引き金となったはずだ。けれど彼女は決して気の長い方ではなかったし、何より非生産的な時間の浪費に二十分も前からうんざりしていた。正直二十分耐えただけでもだいぶ誉めて欲しい。いや、誉められて然るべきである。
 あらゆる理論で己の主張を正当化し、結局彼女の放った一言は見事に隣席の血の気の多い男を激高させた。まるで瞬間湯沸かし器だなあと胸ぐらを掴まれながら彼女はのんびり考える。男の罵声は右の耳から左の耳へと素通りし、ただ距離が近いだけに鼓膜を突き破りそうな音量とヤニだらけの口から飛び散る唾だけが非常に不愉快だった。
 眉を顰めた拍子にぐっと襟元の力が強まる。馬鹿にされたと思ったのか、あるいは更なる制裁を加えようとしたのか。いずれにせよ男の次の行動は実現することはなかった。なぜって、懐の中で震える刀の怒りが早くも頂点に達したからだ。
「みだれ」
 そのたったの三音を言い終えるか終えぬかのうちに呼吸を阻む力はあっという間に消え失せた。薄紅色のリボンと金色の長い髪の軌跡が弧を描き、まるで肉食の獣のように男の身体を軽々と押し倒す。どさりと人間が無様に床へと落ちるのに反し、革靴の踵を高らかに鳴らし、少女のような形をした刀剣男士は逆手に構えた刃を手にその上へと覆いかぶさる。切っ先は違わず喉へ。剣呑に光る青色の目を爛々とむいた抜き身が、じっとりと凄味を含んだ声を喉の奥から引きずり出す。
「汚い手であるじさんに触るな」
 ひぇっという悲鳴は誰のものか。蛇に睨まれた蛙のように動かなくなってしまった男と獲物に狙いを定めた美しき獣。目も覚めるような鮮やかな光景に先程の眠たげな会議の様子はまるで嘘のようになくなっていた。残ったのは圧倒的緊迫感と緊張感。素晴らしい。やはり軍議とはこうでなくてはいけない。
「乱、こちらへ」
「はーい」
 短刀乱藤四郎は決して狂犬ではない。よって主の声一つでぱっと身を翻すとおとなしく傍へと舞い戻る。倒れた椅子を直し、元通り席へと着く。異様な雰囲気に包まれた場の空気を打ち壊すかのように彼女はわざと快活な声を出した。
「さあ、審議を進めましょう」
「ま、待ちたまえ!貴殿の刀を仕舞われてから…」
「なんでさ!ボク、静かに待ってるよ!」
「と、本刀も言っておりますし。それに肝心の刀剣男士がいる方が皆様も議論に身が入りましょう」
 議場はわずかにざわついたが、それ以上反論する者は誰もいなかった。指を組んだ彼女はにこりとわざとらしいばかりの笑みを浮かべてみせる。その後ろで粟田口吉光の青白い乱れ刃が不敵に微笑んで仁王立ちしているのを勿論知った上で。
「さあ、審議を進めましょう」
 もう一度同じ台詞を繰り返す。


2017.03.27

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