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刀剣乱舞 人外夜話(???)

「それにしても何ゆえに彼らなのでしょうか?確かに彼ら個々人は人知及ばぬ特別な力を持っていますが、審神者としての力はどちらかといえば平凡です」
 もっと著しく霊力の高い「普通」の審神者は他にもいると思うのですが、と疑問を呈した部下に彼は薄らと笑ってみせる。逆光の中、闇に溶ける黒いスーツ。白いシャツの襟だけが妙に目に眩しく光を反射していた。柔和な口元は平穏そのもの。だが、銀色の睫毛に縁取られた奥の瞳は一切笑っていない。
「人の世は優しすぎるんだよ」
「…と仰いますと?」
「人の世において本物の深淵を覗く機会などほとんどないということさ。ゆえに普通の審神者ではそれに直面した際に耐えられない。ときに深淵が温かく優しいものに見えることも人心を誑かす悪魔が神の御使いである天使と同じように美しいことも、何も知らぬままあの世界に放り込まれる人の子は哀れだ。とはいえ放り込む人の子もまたそれを知らないのだけれどね」
「…」
「しかし、彼らは違う。彼らは深淵から生まれ、深淵とともに育ち、深淵を這いずり回って生きてきた。彼らは光の輝かしさも闇の深さも知っている。だからこそあの世で刀剣たちを導き、縦横無尽に立ち回ることができる」
 デスクの上には非公式の履歴書、即ち本人には無許可でその来歴を探り記した書類が広げられている。無情鉄壁と恐れられる神山家当代の妹にして悪食の蟲を身の内に飼う人間蠱毒、更にその弟にして大量殺戮兵器ともなり得る無数の羽虫を宿す蠱毒師、古代の呪詛を現代まで引き継ぐ犬神筋尾上家の頭領、とっくの昔に滅びたはず八つの山を取り巻く大蛇の姉妹、悪魔に魂を売り払ってまで野望を成し遂げた冷酷な魔女、そして非業の連鎖を断ち切れず鬼の血を色濃く引いた娘。
「異形には異形を。私は彼らに期待しているよ」


2016.12.07

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