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2016年

wordpressサイト構築覚え書き

■個人的な個人サイト要件
・更新が楽。
・スマホもPCも同一サイトで自動切り替え(レスポンシブデザイン)
・Web拍手が設置できる。
・アクセス解析が設置できる。
・ロボット検索避けができる。
・広告はない方がいい。
・小説のページはジャンルごと世界観ごとに分けたい。
・小説ページにイラストを挿入したりできる。

■レンタルサーバ
・ネットオウルのミニバード。MySQLが5つまで使えるのが決め手(Wordpressは1サイトにつき1DBが必要)
・価格は12ヶ月契約で月額250円。2週間のお試し期間あり。払い出しは即時。
・WordPressは簡単インストールがWeb管理画面から使える。DBも自動生成!
・Web管理画面からFTP接続もできる。今のところ不便なし。

■WordPressテーマ
「創作サイト向けWordPressテーマ」

小説投稿とイラスト・漫画投稿メニューが最初からあるのは便利。
直接phpを編集するのはfanctionsくらい。シンプルで見やすい。
スマホ表示の際トップページの写真がくしゃっとなることだけが気になる。要検討。

■プラグイン

ウェブ拍手 「まろやかWEB拍手」
 正常稼働せず。Wordpressのバージョンの問題か?

・WEB拍手 wp-webclap ※公式プラグインから検索
 かなり元々の拍手に近い。解析、コメントの閲覧も管理ページから可能。
 挿入位置が調整できないため、もうちょっとカスタマイズしたいがとりあえず。

・アクセス解析 「JetPack」 ※公式プラグインから検索。
 いろんな機能があって戸惑うけど「サイト統計情報」だけ有効にしておく。英語。

・検索避け http://wpnovel.bex.jp/wp/wordpress-kensakuyoke/
 サイト参照。基本HTMLのときと同じことができる。

WordPress改行プラグイン
 しばらく利用してて気づいたけどwordpressの入力は複数改行を自動的に一行にまとめます。…不便!というわけでプラグインで解消。Windows Live Writerも利用してみましたが、テーマが読み込めずに想定の動きにならなかったので却下。

・バックアップ 「BackWPup」 ※公式プラグインから検索。
 バックアップないとまずいな!というわけでバックアップ。DBからファイルまでバックアップ先もスケジュールも設定可。日本語。
 参考サイトはこちら → http://netaone.com/wp/backwpup/

・高速化プラグイン 「WP Super Cache」 ※公式プラグインから検索。
 WordPressが遅いのは気のせいじゃなかった!キャッシュを取得して高速化するのが定番らしいとのことでプラグインを導入。キャッシュ取得プラグインは安価なサーバだと問題が出たりするそうなので導入は慎重に。
 参考サイトはこちら → http://netaone.com/wp/wp-super-cache/

・メールフォームプラグイン「Contact Form 7」 ※公式プラグインから検索
 メールフォーム設定したいなと思って検索。プラグインからフォームの内容やメールの送信先を設定して、コードを固定ページにはりつけるだけ。デフォルトの設定なら「メッセージ」の変更はほぼ不要だけど、フォームの設定を変更する場合はその内容が送られてくるように調整が必要。
 参考サイトはこちら → http://whitehatseo.jp/contactform7-mail-form-plugin/

「Contact Form 7」の姉妹プラグイン「Flamingo」をインストール。メールフォームの内容はメールが届かなければ通常ロストしてしまうんだけど、それを送信された時点でサーバ上に保持するのがこのFlamingo。

・独自いいねボタン 「WP ULike」 ※公式プラグインから検索
 所謂「いいね!」ボタンをページに実装するプラグイン。ページ自動挿入、除外ページの設定、集計などいろいろできる。アイコンのカスタマイズとかも可能みたいだけど、とりあえずハートで。一回押していいね、もう一回押すと解除なんだけど、一回押した段階で色付きハートとかにできればなあとは思ってる。

・ログイン履歴「Crazy Bone (狂骨)」 ※公式プラグインから検索
ログインおよびログイントライ履歴を取得するプラグイン。WordPressは管理ページのアドレスが容易に推測できてしまうため、辞書攻撃で不正アクセスされることが多いのだとか。セキュリティ対策ですね。

・アクセス解析
アクセス解析はちょうどいい塩梅のものがあまりなく模索中です…。PtengineとかSlimStatとか試用運転中。

■Tips
・phpファイルを直接編集していて記述を間違えたまま更新すると管理ページにもアクセスできなくなる…。びっくりするけど、WebサーバのFTPを使って直接該当のファイルを修正すれば復旧する。結局FTPソフトは手放せず。

・パーマリンクって何?要するにアドレス。これは新規作成でタイトルを入れたまま更新すると日本語名で自動登録される。一見便利だが転記の際はランダムな文字列になって長い。タイトルを入れずに保存すれば連番の数字が自動登録されるのでそのあとでタイトルを入れる。

PQ 一月の解(番キタ)

P3主人公 草間奏(そうま かなで)
P4主人公 八塚春貴(やつか はるたか)



 この好意は錯覚だと度重なる熟考の末に断言する度に錯覚ではないような気がしてくるから不思議だ。
 否定すれば否定するほど、肯定される。押し殺し、見ないふりをし、振り払おうとするほどにそれは突然目の前に現れる。まるで幽霊みたいだと、奏は思う。お化け屋敷をモチーフにした迷宮は全く怖くないけれど(だいぶ凝ってはいるが、結局のところシャドウな訳だし)、このぼんやりとした亡霊のごとき感情は身の毛がよだつほどに恐ろしい。どうしてこんなに怖がるのか自分でもわからない。ただ、ふとした瞬間に湧き上がる想いに自分で自分を制御できなくなるような漠然とした不安がある。ここで考えているのは誰だろう。それは果たして奏自身か。それとも奏ではない誰かが、奏の肉体を乗っ取って考えているのか。思考とは個人そのものである。倫理の授業のワンフレーズが螺旋を描いて落ちていく。
「どうした?」
 知らぬ間にぼんやりしていたのだろう。気が付くと気遣わしい鈍色の瞳が至近距離にあって、思わず奏はぎょっとして後退りしそうになった。
 三番目の迷宮、放課後悪霊倶楽部。第二層までのおどろおどろしい学校の内部は三層に来て姿を変え、今は不気味な病院が目の前に広がっている。点滅する赤色灯。滴る真っ赤な何かに黴臭い薬品棚。キィキィと軋む扉にどこからか聞こえてくる赤ん坊の泣き声は雰囲気たっぷりといった風である。仲間たちも怖がったり、喜んだり、平常心だったりと様々な反応を見せながらも相変わらずわいわいと迷宮を進んでいる。
「なんでも、ない」
「…怖い?」
 突然の問いに虚を突かれて、奏は瞬きを繰り返す。それはきっとこの迷宮に対してのもので、そんなわけないじゃないかと言い返すのも首を振って黙って歩を進めるのも簡単で、けれどそのどれも実際の行動に移せなかった。心の海が繋がっている。そう告げたベルベットルームの住人の言葉が蘇る。だからと言って思考まで読まれるはずがないのに、一度大きく跳ねた心臓の音は暴れ馬のように止まらない。動揺。ざわめくのは心か、思いか。黙りこくった奏にしばし考えたらしきサブリーダーは先を進むメンバーに声をかける。
「みんな、そろそろ休憩しないか?りせ、この辺りにシャドウの気配は?」
『…大丈夫、平気だよ。そこなら休憩できると思う』
 ダンジョンナビゲーターを務める少女の声に皆がそれぞれ安堵と不安の声を漏らす。こんなところからは一刻も早く出たいであろう里中は表情を曇らせて友人に寄り添い、一方その天城はといえば嬉々として周囲の観察を始め、意外とこういうのが苦手らしい桐条は落ち着かなく部屋の隅で爪先で床を叩く。花村とクマは相変わらず漫才のようなやり取りを続けているし、コロマルは一つ欠伸をすると休息のためか伏せの体勢に入った。恐らく彼がこの中で一番冷静だろう。
 正に三者三様な仲間の姿を横目に奏はちらりと隣の少年を見上げる。彼も奏と同じように、否それよりもひどく優しい目で仲間たちを眺めていた。違う時、違う場所から呼ばれたペルソナ使い。愚者のアルカナを持つ、彼。
 ふと視線が移動する。かち合って、指先が緊張する。奏の無表情を抗議と受け取ったのかなんなのか。彼は弁明するように言葉を紡ぐ。良かった。この心はばれてない。
「すまない。リーダーに断らず勝手に」
「…みんな疲れてたし、いい頃合いだったんじゃない?」
 そう言うと彼は安心したように目元を緩めた。どちらかと言うと表情豊かな方ではないだろうが、努めてそれを隠している奏よりは余程雄弁に彼は感情を語る。そしてそれが彼が慕われ、好かれる理由の一端でもあるだろう。きっと冷静に、距離をおいて、分析しているつもりの自分だって同じように惹かれている。その声、その心、その温度。ひどく優しいわけではないけれど、とりわけ冷たいわけでもない。ちょうどいい、距離感。彼の傍はひどく居心地がよくて、それでいて落ち着かない。その理由を、答えを、奏は知らないふりをする。
 「愚者」、それは世界の始まりに立つ者の意。未熟な旅人はまだ「その名」を知らぬゆえに、他愛もない会話の糸口を乾いた唇から切り出すに留めるのだ。

刀剣乱舞 蟲姫

※刀剣男士は出てきません※


「あっちを見ても鋼、こっちを見ても鋼…」
 暗闇の中で声がする。甲高い少女らしき声色はわざとらしいため息とともに、もううんざりと一際大きく呟いた。
 窓から差し込む白い月明かりが畳を照らす。何が入っているかも知れぬ桐箱を、乾いた墨が残されたままの硯を、開きっぱなしの書を照らす。真円に近い月光は思いの外強いコントラストを室内に落とし、横切る影はその脚の繊毛の一本一本でさえも明らかにされる。かさかさと紙を踏む軽やかな足音。かぶさる男の声は呆れと苛立ちを露骨に含んでいた。
「文句があるならてめぇだけ神山の家へ帰れや」
「やだよ!火焔ちゃんと離れ離れとか考えらんない。何言ってるの雷電丸(らいでんまる)!」
「うんざりとか言ったのはお前だろうが、八蘇(やそ)。つーか声でけぇ」
 男の声は少女をうるさいと牽制するが、空気を震わす微かな音はおそらく両名以外のどこにも届いていない。そこかしこに置かれた家財道具と書類とその他何に使うのかまったくわからない道具たちが詰め込まれ、立体の迷路となったような部屋に更にひそめた声が反響する。それは秋の夜の冷ややかな風にかき消され、暗がりの深くへと消えていく。
「火焔ちゃん、遅くない?」
「今日も出陣だろ?じきに帰るさ」
「心配だなあ。いくら火焔ちゃんが戦馬鹿だからって、付喪神たちってみんな美男子でしょ?誑かされたりしてないかなあ?」
「…俺たちの背中で昼寝するのが何より幸せだっつう御主人がか?」
「うん」
「大百足の脚を数えるのが趣味で、軍蜂の巣の中に手を突っ込んで暖取って、三尸のツラが仔犬より可愛いっつう御主人がか?」
「……ないな」
「ないだろ」
「うんうん、火焔ちゃんに限ってない!」
 安心!と一人納得したような声が闇夜に響く。つるりと透明な糸は天井から真っ直ぐに垂れ、畳へと音もなく着地した八つ足が書棚の奥へと消えていく。
 ちょっと見てくるという台詞に男の見つかるなよという声がかかり、それを最後にとある本丸のとある審神者の自室からは一切の音が聞こえることはなかった。あとにはただぺらりとページがめくれた書が置き去りにされるばかり。妙に手垢のついた見開きには物の怪と化して人を喰らう巨大な蜘蛛の絵姿が描かれている。

刀剣乱舞 神無月の蛇(御手杵+審神者)

 小春日和の昼八つ過ぎ。いつまで経っても慣れない畑仕事にどうにかけりを付け、自室に戻った御手杵が見たのは畳の上で仰向けにひっくり返った挙げ句、口を開けて寝こけている主の姿だった。
「…なぜ人の部屋で寝る…」
 自分の部屋があるだろと傍らにしゃがみ込んで話しかけても寝息はちっとも揺るがない。降り注ぐ神無月初旬の日差しは柔らかく、吹く風は湿った朽ち葉の匂いを含んでいた。畳の上に散らばった黒髪に白皙の肌、みっしりと生え揃った睫毛に自分とは違う耳の形、鎖骨の隆起、指の腹から少し覗く爪。姉妹二人寸分違わぬその姿。眠れば表情はかき消えて差異はなお深い闇の奥へと消えてゆく。けれど、御手杵は悩まない。規則正しい呼吸、開いた口から見える歯の並び、手首に浮き上がる血管の青。それら一つ一つを明確におぼえているわけでもないのに、わかるのだ。彼女は間違えようもなく。
「起きねえなら頭から食っちまうぞ」
 あーと大袈裟に大きく口を開けると、ぱちっと音でもたてそうな勢いで黒いまなこが開いた。そんなことしたら、と寝起きの掠れた声で彼女が言う。鈴を飲み込んだ注連縄のようにゆらゆらと揺れる声色が、致命傷を上手に避けて槍の鼓膜を緩慢に刺す。
「お前の腹を食い破って出てきてやる」
「それは困る」
「だろう?」
「飯が全部出ていっちまうぜ」
「その通りだぜ」
 御手杵の口調を真似た女はあふうと欠伸をすると全身を犬のように震わせて伸びをし、ようやく人心地付いたのか、おはよう御手杵と心底眠そうな声を出した。

刀剣乱舞 ある月のない夜に(小狐丸+審神者)

 血で濡れた抜き身の白刃が翻る。飢えた獣のような表情と荒い息遣いは太閤殿に寵愛されたこの太刀には相応しくない。しかれど刀は持ち主の心をまるで鏡面のように映す。ゆえに今まさに「粛清」が行われたこの本丸における彼はそうならざるを得なかったのだろう。浅葱色の髪が乱れ、虚ろな視線がおのが主の変わり果てた姿を見下ろす。一瞬、こちらを見たその目が色を宿した気がするのはおそらく幻だ。彼は深々と頭を下げる。政府の代理人としてやってきた黒ずくめの女に対し、精いっぱいの謝意を示し、そして膝から崩れ落ちた。主が死んだ以上、彼は付喪神としての体裁をあと数刻も保っていられまい。しかし、彼らは最初からそういう存在だった。審神者の力によって顕現し、審神者の命によって生き永らえる仮初の神。
 女は身を翻す。「仕事」が終わったからには長居する理由もなかった。小狐丸、とかけられた声に愚直な一振りの返事が返る。白銀の長い髪に立派な体躯、目立つ犬歯。他ならぬ女の配下であり三条が打ちし太刀の一振りは主の意図を素早く察し、倒れ伏す人間と刀剣には一瞥もくれず女の後ろに付き従った。悪いなと続けた声に首を傾げる様が妙に獣に似るのはその名ゆえか。
「私の仕事に付き合わせて」
「いいえ。ぬしさまのご命令とあらばなんなりと。それに」
 振り返らずともわかる。物の怪が笑った気配はゆらりとさざ波のように広がり、足元から真っ直ぐ心の臓に向かって這い上がる。
「ぬしさまにお供すれば極上の断末魔の悲鳴が聞けまする。小狐丸はこれが一等好きでございます」
「嗜虐趣味は程々にしておけ」
「ええ、無論心得ております」
 ぬしさま、と狐が鳴く。数ある刀剣の中でも一際物の怪じみた太刀はいずれ朽ち果てる見ず知らずの本丸の廊下を踏み鳴らし、己の主の背中に向かって先程とは打って変わった殊勝さで懇願する。
「小狐丸はお揚げも一等好きでございます」
「…食べて帰るか」
「はい」
 ひょっとして最初からそれが目的ではないか、と思いはしたが口には出さない。心なしか軽やかになった足音に女はそれとわからぬよう少しだけ口元を綻ばせてみせた。闇夜の暗殺稼業をただ獣の目だけが見つめている。

毒を食らわば皿三つ(神山姉弟)

 いくら全力で渋面を作ってみせたところで目の前の姉は嫋やかな笑みを崩そうともしなかった。無論、彼女は単なる姉にあらず。千年の歴史の闇を渡り歩き、現代までその名を引き継ぐ神山家の当代当主にして無情鉄壁の二つ名を轟かせる長姉、神山神楽(かみやまかぐら)その人。彼女は弟の剣幕などどこ吹く風の恐るべきマイペースさで勝手に話を進める。
「安心なさい。相手は両刀だそうだから、女のふりなどする必要ないのよ」
「気にしてるのはそこじゃないよ、神楽姉さん…」
「あなた得意でしょう、閨中の殺し」
「得意じゃないよ!実の弟になんてこと言うの!大体なんでまず火焔姉さんに話しないんだよ…!」
 急に話を振られたもう一人の姉がせんべいを口にくわえたままこちらへと視線を寄越す。心なしか一番上の姉とも自分とも微妙に異なる顔つきをした彼女はパリパリと軽快な音をたてて米菓を飲み下し、茶を一口啜ると、ようやく口を開いた。
「別に私やってもいいけど」
「姉さん…!」
「あら、火焔はだめよ。別の仕事が入ってるもの。それにあなた、いつも暗殺をただの殺人に変えちゃうでしょ」
 それじゃだめなのよ今回は、という神楽の言葉に火焔は急速にこの件に対する興味を失ったようだった。背中を丸め、こたつの中に手を突っ込んで暖を取る様子からは怠惰な女性にしか見えないが、彼女は正真正銘神山家のエースだ。仕事の達成率もさることながら、その対象も常に大物。どんな修羅場に放り込んでも必ず実績をあげてくる様から神山を代表する蠱毒師として一部界隈では色んな意味で名を知られている。ゆえに神楽は火焔の仕事を選ぶし、選ばせる。それが神山の当主たる彼女の仕事だから。
「わかっているわね、遊馬」
 神山遊馬。神山家当主の実弟にして年若き蠱毒師はまだ最たる結果を世に残したことがない。物心つく前から蟲たちと触れ合い、神山の蠱毒師としての技術を叩き込まれてきたことが唯一のアドバンテージと言ってもいい彼は姉の気迫に思わず背筋を伸ばす。
「あなたに必要なのは実績。姉さん何も意地悪で言ってるわけじゃないの」
「…はい」
「よろしい」
 ちゃんと出来た暁には遊馬の好きなもの作ってあげるわと滅多に台所に立たぬ神楽が言えば、すかさず火焔がすき焼きと呟く。遊馬は一つ、姉二人には悟られぬよう小さく息を吐いて、無理矢理困ったような笑顔を作った。
「それは火焔姉さんの好きなものでしょ」
 身のうちがじくじくと疼くのは気のせいで、これは優しい家族の時間で間違いないはずだ。きっと、そのはずだ。僕らは狂ってなんかいないんだから。

刀剣乱舞 いと愛しき共通項(前田藤四郎+審神者)

「前田は一期一振によく似ているな」
 筆を走らせる手を止め、こちらをじっと見つめてきたかと思えば前田藤四郎の主は感慨深そうにそう呟いた。突拍子のない発言の真意が掴めぬまま、前田が目を白黒させていると、違う違うと言いたげに彼女は片手をひらひらと振るう。
「見目の話ではなくて。口ぶりや所作や、こう雰囲気のようなものだ」
「雰囲気…ですか?」
「吉光の銘を持つお前たち兄弟は多かれ少なかれ長兄の影響を受けているのだろうが、前田は特にその色が顕著だと思ってな」
「そう、ですか」
「不愉快だったか?」
「い、いいえ!」
 ぶんぶんと首を振って否定すれば、主は少し驚いたような顔をしたあとに小さく口元を緩めた。
「いち兄に似ている、なんて光栄です」
「そうか」
「あの、」
「ん?」
「主君もやはり、いつも仰っている姉上様に似ていると言われたなら嬉しいのですか?」
 問えば、私が姉に?と主は首を傾げてみせる。彼女が折に触れて口に出す「姉」には万感の信頼と親愛が詰まっているように感じられたゆえの他愛もない問いかけに主が思いの他考え込んでいるのを見て当然前田は焦る。何か立ち入ったことを訊いてしまったのかもしれない。慌てて謝罪を口にしようとした前田の言葉を当の彼女の声が遮った。戦場に雄々しく立ち、部隊を鼓舞する女とは似ても似つかぬ微かな声色。ぬばたまの黒き瞳は憧憬に濡れ、思わず前田は息を呑む。
「そんなことは…生涯言われることはないだろうが…」
 そうだな嬉しいなあ、と落ちた言葉は雪のように儚く初秋の空気へと溶けた。その声色を、その顔を前田だけが知っている。我らが主君は強く、凛々しく、賢い理想の主。だからこそ、あなたにそんな顔をさせられる御方がちょっとだけうらやましいと彼女の忠実なる懐刀は思うのだ。

Web拍手お返事(20161031)

いつも拍手ありがとうございます!見ていただけて、気に入っていただけて本当に感謝です!励みになります…!
コメントを送ってくださった方へのお返事は以下になります!

■ 2016/10/31 華華様
お久しぶりです、華華様!わーなんの前触れもなく大変失礼いたしました…!実は前々から準備はしていたのですが、移行に思いの外時間がかかってしまいまして、完成した瞬間に嬉しくなって公開してしましました(笑)今回のサイトはスマホでもかなり快適にご覧いただけますので、どうぞまた楽しんでいただけると嬉しいです!
日参…!こちらこそなかなか更新できない中、本当にありがとうございます…!これからもマイペースで続けていきたいと思います。華華様もどうぞ季節の変わり目、ご自愛くださいませ。コメント、本当にありがとうございました!!

刀剣乱舞 カガチノメザメ(大蛇審神者姉妹)

 空気が変わった。
 肌を刺すような殺気が目の前に仁王立ちする二人の主から発せられていることは明確で、吹き付ける生臭い風を浴びてなおその姿は鮮やかな怒りに彩られているように見えた。立ち塞がるは歴史修正主義者の隊列でもなく、最近介入を始めた検非違使なる者たちでもなかった。けれど、彼女らに未知の何かを恐れる気配は微塵もない。むしろ未知なる何かと刃を交えることを喜ぶような、一種の高揚感さえ感じられた。
 地に崩れ落ちたほかの刀剣男士たちも半ば呆然とした表情で彼女らの背中を見つめていた。見つめていることしかできなかった。風に煽られる黒い髪、ジャケットの裾、腰に添えられた手、不敵な笑みを浮かべる横顔。
 笑み。それは慢心から、ましてや絶望から来るものでは決してなかった。彼女らの脳内では今正に凄まじいスピードで目の前の敵に対する分析と戦略が練り上げられ、その指示が信じられないスピードで全身を駆け巡っているのだ。手に取るようにわかるそれを簡単に「戦意」と言ってしまうのも憚られる。立ち昇る殺気に凝縮された鋭利な闘争心。それは審神者としても、隊を率いる将としても相応しくない。
 そこにいるのは、人ならざる異形。
「好き勝手にまあやってくれたじゃねえか」
「同じ物の怪どうし仲良くと言いたいところだがそうもいくまい」
 地が鳴り、風が鳴る。身体を、骨を、揺らす地響きを不審に思う間もない。それは大地を割り砕くようにして地中から突如として現れた。白刃の切っ先。すぐにわかった。何しろそれは自身と同種の武器、槍だったから。しかし、大気を震わす恐ろしい咆哮はただの鋼から発せられる音ではなかった。生きている。そう認識したときにはもうすでに姉妹の手には一振りずつ真紅の柄が握られていた。赤い瞳が、差し向けられた刃が、ちらりちらりと奇妙に揺らめく。まるで蛇の舌が獲物を求めて盛んに出し入れされるように。捕食。その言葉に思い至ったとき、刀剣の付喪神の背を流れたのは冷たい汗だ。
「私たちを倒したきゃ須佐之男と十握剣でも持ってきな」
「そんなこと言うと奴が本当に現れそうだな」
「あ、ちょっとそれは勘弁」
 自分たちの言葉に自分たちで身震いする。おどけて、ふざけて、それでもまかり通る。なぜなら彼女らは人でなし。その肉体の生死など些末。古より日の本の国に生じ、姿を変えて存在し続ける「化け物」。それが本性、それが本質。ゆえに彼女らは戦場で笑む。不敵に八本の槍を掲げ、血の匂いを吸い込んで歓喜し、屍の気配を感じて陽気に吼える。
「さあさ、御照覧あれ」
「出雲のお国の八つの山と八つの谷を取り巻いて」 
「頭と尾はそれぞれ八つ、瞳は鬼灯、牙は金剛、滴る毒は岩さえ溶かす」
「「我ら八岐大蛇の出陣じゃ」」

刀剣乱舞 あなたを知るは世界を知る(御手杵)

「随分飼い慣らされてるみたいだな」
 とげのある言い方にふと視線をあげれば、そこに立っていたのはひどく不機嫌そうな顔をした「自分」だった。
「そういうあんたは、随分不満がありそうだな」
 演練の最中、遠くからはそれぞれの本丸の部隊が力試しをする音が鳴り止むことなく響いている。この「御手杵」もおそらくどこかの本丸の自分とは異なる御手杵なのだろう。彼は当たり前だが御手杵とそっくり同じ顔で数度驚いたように瞬きを繰り返すと、ため息をついた。同じ御手杵のくせに鈍い奴だとでも思われたのかもしれない。
「あんたはいいのかよ、この惨状」
「惨状?俺は結構楽しいぜ?畑耕したり馬の世話したり箸使って飯食ったりさ」
「俺は刺すことしかできない」
「俺もそう思ってたさ。でも主が色んなことやってみろって。で、実際やってみたら意外と楽しかったわけだ」
 槍の付喪神は理解できないといったふうに眉をしかめてみせた。その様子に、さては顕現したばかりの刀剣かと見当を付ける。確かに人の身となったばかりの頃は御手杵も何かと苦労したものだ。何をするにも二本の足というのは慣れないし、掌の感覚も芳しくなく、視覚も聴覚も不安定だ。それに何より。
「あんなのが主だって?よく呼べるな」
 戦うために自分を呼び出し、己が主だと宣った人の子の姿が物慣れなかった。だから、その吐き捨てるような台詞には身に覚えがなくはない。御手杵だって何か一つ間違えば、ひょっとして今でもそんな心の有り様のまま今の主に仕えていたのかもしれない。でも御手杵はそうはならなかった。なぜかと訊かれても明確に答えを出すのは難しい。それでもあえて言語化を試みるなら、それはたぶん彼女らのことを「知った」からだろうと思うのだ。
「いいこと教えてやろうか、《俺》」
「は?」
「俺の主は二人いてなあ。双子の姉妹なんだ。姉ちゃんの方はえらく鉄面皮でどちらかと言えば無口。歩くときもほとんど足音なんてたてやしない。妹の方は姉ちゃんと違って表情豊か。いつもばたばた走り回って全力で短刀たちと遊んでる。二人は何もかもがものすごく似ていてな。見分けをつけるのも大変だから、みな二人まとめて主と呼ぶ。だけど、俺にとっては違うんだ。驚いたことに俺にとって、主たちは全然別の人間に見えるんだ」
「なあ、なんの話だ?」
「それに何より俺の主はなあ」
 彼の言葉を無視して御手杵はにっと笑う。怪訝そうな槍を前に、ほんの少し声をひそめ、大事な内緒話でも囁くように。
「人間に言わせると結構美人らしい」
 御手杵の名を呼ぶ声がする。
 振り返ればそこには件の女がぶんぶんと勢いよく手を振って、こちらへと来るよう招いている。どうやら出番だ。じゃあなと同じ銘を持つ槍に声をかけると、彼はなんとも曖昧な表情で頷いた。いずれわかる日が来るさ、なんてそんなわかったような口はきかない。ただ御手杵は軽やかに身を翻し、己の主の元へと駆けていく。
「俺の出番かー!?」
「そうだぜ、部隊長殿!」

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